縁あって
おたがいに、縁あってこの世に生まれてきた。そして、縁あっていろいろの人とつながりを持っている。
縁あって − 何だか古めかしいことばのようだけれど、それにはまた一つの深い味わいがひそんでいるように思える。
人と人とのつながりというものは、とかく人間の個人的な意志でできたと思いやすいもので、だからまたこのつながりは、自分ひとりの考えで、いつでも断てるかのように無造作に考えやすい。
だがほんとうはそうでない。人と人とのつながりには、実は人間のいわゆる個人的な意志や希望を越えた、一つの深い縁の力が働いているのである。男女の縁もまた同じ。
そうとすれば、おたがいにこの世における人と人とのつながりを、もうすこし大事にしてみたい。もうすこしありがたく考えたい。不平や不満で心を暗くする前に、縁のあったことを謙虚に喜びあい、その喜びの心で、誠意と熱意をもって、おたがいのつながりをさらに強めてゆきたい。
そこから、暗黒をも光明に変えるぐらいの、力強い働きが生まれてくるであろう。 |