「素足が似合う 自然派健康住宅」 松山市 T邸
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十数年前に増改築を行い、当初建て替えは全く考えていなかったというTさん一家。芸予地震が発生し、住み続けることに不安を覚えて業者に相談した時も、頭にあったのはリフォームだったといいます。「でも話を進めるうちに、以前の使い勝手の悪さがよみがえった。一緒に暮らす母の勧めもあり、思い切って新築に変更しました」。
耐震性と居住性を追求した末に選んだのは、二十四時間計画換気システムを導入した、高気密・高断熱のオール電化住宅。しかも床に段差がなく、玄関から廊下、トイレ、浴室まで手すりをつけたバリアフリー設計です。
外観は、淡いピンクの外壁にあしらった平たい人工石が、ほどよい重厚感を演出。日なたぼっこをしたり、荷物を運び込むのに便利という長い縁側も見えます。
木の香りがたちこめる玄関から、まずは吹き抜けのリビングヘ。玄関ホールとの仕切り戸がなく、開放感と明るさが際立つ空間です。天井の太い梁(はり)は、床と同じマツ材が使われているほか、壁は珪藻土(けいそうど)、腰板は防湿効果のあるキリ材を採用。ぜんそくやアレルギー症状を示す二人のお子さんのこともあり、自然素材の使用にはかなりこだわったそうです。
畳を好むご主人の希望で、居間には掘りごたつの和室コーナーを配置。ここが食卓で、配膳がしやすいよう台所とはカウンターでつながっています。一方台所には、食品庫から冷蔵庫、オーブンまで一体となったシステムキッチンを採用。カラーを天井と統一させ、シックな雰囲気に仕上げています。
二階は、吹き抜けに沿って廊下が続き、各室を回遊できるしくみ。手すりや天井、腰板など、一階と同様に木の風合いが広がります。階段そばの窓際にはオーディオ機器を置き、時々家中にくつろぎの音楽を響かせているそうです。
シェードカーテンを建具がわりにしたり、小スペースを収納庫にするなどすっきりと暮らす工夫も多く、Tさん夫妻は「住み始めて気になるのは、時々子供たちが騒ぐ声だけ」と満足の表情を浮かべます。建築中は近くの仮設プレハブ住宅で過ごし、焼けるような夏の暑さを乗り越えての住み替え。「今年の夏が猛暑だとは全く感じなかった」というほど、現在は一転してその住み心地を大いに満喫しているようでした。
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平成十四年二月完成 |
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